モンスターファームにはモンスターの系統ごとにさまざまな技が用意されていますが、どれが最強技なのか、対戦でどの技を使えばいいのか悩むことも多いです。そういったときに、どういった観点から強い技を見極めていけばいいのか、考察します。
なお、今回はSTEAM版のモンスターファーム1&2 DXのモンスターファームでのプレイを前提にしています(PS版など、他のバージョンとも基本的な違いはありません)
強い技とは何なのか
強い技を見つけるためには、強い技が何なのかを考える必要があります。そのためにはそもそもの目的に立ち返る必要があります。そもそもの目的というのは対戦で勝つことです。対戦で勝つためには相手より多くのダメージを与えなければなりません。ですので、強い技というのは、相手により多くのダメージを与えることのできる技、ということになります。
なお、モンスターファームには防御の概念がないので、ここでは単純に自分のモンスターが繰り出す技によって発生するダメージについて考えていきます。厳密には、技によるガッツダウン効果により相手モンスターのガッツが減り、それにより相手の攻撃機会が失われるので、間接的には防御の概念が発生します。これは後程考察対象に入れていきますが、まずはガッツダウン効果を考えずに考察します。
技によるダメージの期待値
相手により多くのダメージを与えることのできる技、というのは、直感的には威力の高い技、ということになります。技の威力はゲーム内ではSやA、Bといったアルファベットで(ゲーム内では「ダメージ」として)表記されていますが、実際はもっと細かい数値で設定されています。例えば、全モンスターの技の中で最も威力の高い技はゴーレムの竜巻アタックとぐるぐるアタックで、どちらも82となっています。
そうすると、この竜巻アタックとぐるぐるアタックが最強技なのか、というとそうではありません。それは、技の命中率と消費ガッツを考慮していないからです。
まず、命中率というのはその名の通り、技の当たりやすさです。竜巻アタックもぐるぐるアタックも威力は抜群ですが、命中率は低いです。いくら威力が高くても当たらなければ意味がありません。よって、ここで考えなければならないのは、技の威力と命中率から導き出されるダメージの期待値になるわけです。
細かい計算式は省きますが、仮にフルモン(すべてのステータスが999のモンスター)同士の戦闘で、自分のモンスターがガッツ50のときに竜巻アタックを繰り出した場合、当たった場合のダメージは466(小数点以下切り捨て)です。このとき、命中確率は26.5なので、ダメージの期待値は123です。ちなみに、ぐるぐるアタックは竜巻アタックと威力は同等ですが、わずかに命中率が高いので、期待値は132です。
次に消費ガッツを考慮します。消費ガッツは技を発動するのに必要なガッツの量で、低ければ低いほど、何度もその技を繰り出すことができます。よって、低いほど有利です。ここでは単純に先ほど算出したダメージの期待値を消費ガッツで割ることで、ガッツ消費あたりのダメージの期待値を指標にすることにします。これが一つの技の強さを示すパラメータとなるわけです。
全モンスターの技をガッツ消費あたりのダメージの期待値(期待威力/消費)が高い順に並べると以下のようになります。
系統 | 技名 | 種別 | 期待威力/消費 |
---|---|---|---|
ゴーレム | チョップ | 大ダメージ技A | 4.09 |
ゴーレム | ダブルチョップ | 大ダメージ技B | 3.91 |
ヘンガー | Wキック | 大ダメージ技B | 3.83 |
ラウー | 回転アタック | 大ダメージ技B | 3.80 |
ニャー | 回転ひっかき | 大ダメージ技B | 3.76 |
ゴーレム | でこぴん | 基本技A | 3.73 |
ドラゴン | ジャンプブレス | 大ダメージ技B | 3.7 |
ゴーレム | キック | 基本技B | 3.63 |
ドラゴン | 頭つき | 基本技A | 3.63 |
ドラゴン | しっぽフック | 命中技B | 3.58 |
ご覧の通り、大ダメージ技が多いです。大ダメージ技は当たりにくいという印象がありますが、期待値で考えると実は有利です。また、基本技も多いです。ただし、これはガッツダウン効果を考慮していないことが影響している部分もあります。
ガッツダウンによる効果
さて、先ほどの表でガッツ消費あたりのダメージの期待値が高い技を把握することができたわけですが、先述の通り、まだガッツダウン効果については考慮に入れられていませんでした。ここからはガッツダウン効果も踏まえて考えていきたいと思います。実はガッツダウン効果を考慮して技の強さを考えるのは難しいです。ガッツダウン効果は相手に攻撃させないための効果、つまり防御的な側面の効果なので、ダメージとは考え方が変わってきます。ここでは、ガッツダウン効果により、相手のガッツが減り、相手の攻撃機会が失われ、いったいどれくらいのダメージを防ぐことができているのか、という観点から考えることにします。
ガッツダウン効果は技ごとにこれまた内部的には数値で指定されています。ここで指定されている数値がそのまま低下させるガッツの量になります。例えば、ライガーのガッツダウン技Aの雷撃は、ゲーム内ではガッツダウンCとなっていますが、内部の値は16です。雷撃がヒットすれば、相手のガッツは16減ります。超必殺技Aの吠えのガッツダウン値は55です。ヒットすれば相手のガッツは55減ります。
ガッツダウン値についても、期待値を考えます。ダメージと同様に命中確率から算出します。吠えの期待ガッツダウン値は17.88です。これはなかなかの値です。
さて、ここまでで技を繰り出すと相手のガッツがどれくらい減るのかはわかりました。相手のガッツが減ると相手から受けるダメージを潜在的にどれくらい減らしていることになるのでしょうか。これは相手がどの技を繰り出すかによって変わってくるので、ある程度割り切った考え方が必要です。ここでは「技によるダメージの期待値」のところで考察した、ガッツ消費あたりのダメージの期待値の全モンスターの平均から算出することにします。この値は2.36です。つまり、相手のガッツを1減らせば、受けるダメージを2.36減らすことになる、という考え方です。先ほどの期待ガッツダウンとこの2.36を掛け算することで、ガッツダウンにより相手のダメージをどれくらい減らすことができるか(期待低減ダメージと呼ぶことにします)を算出できます。吠えの期待低減ダメージは17.88 x 2.36で42.22です。
そしてさらにこれを技の消費ガッツで割ることで、消費ガッツあたりの期待低減ダメージ(期待低減DM/消費)が出るわけです。これは言ってみれば技による防御性能です。これを高い順に並べると以下のようになります。
系統 | 技名 | 種別 | 期待低減DM/消費 |
---|---|---|---|
ディスク | しびれショクシュ | ガッツダウン技B | 2.21 |
プラント | 花粉 | ガッツダウン技B | 2.14 |
ピクシー | キス | 超必殺技A | 2.09 |
ライガー | 超雷撃 | ガッツダウン技B | 1.58 |
モノリス | わらわら | ガッツダウン技B | 1.49 |
スエゾー | キッス | ガッツダウン技B | 1.49 |
ゲル | 殺虫剤 | ガッツダウン技B | 1.48 |
ドラゴン | 空中おとし | ガッツダウン技B | 1.47 |
ゴースト | ドクロビーム | ガッツダウン技B | 1.43 |
ニャー | 頭つき | ガッツダウン技B | 1.42 |
当たり前と言えば当たり前ですが、ガッツダウン技が多いです。そして上3つは抜けて効果が高いことがわかります。
技によるダメージとガッツダウン効果を合わせる
ここまでで、技による消費ガッツあたりの期待ダメージと、ガッツダウン効果から得られる消費ガッツあたりの低減ダメージを算出しました。これら2つの要素が合わさることで、技による本当の効果を知ることができます。与えるダメージと防ぐダメージの合計を考えればいいわけです。これにより相手のHPと自分のHPにどれくらい差ができるのかがわかります。
この2つを合計した結果(期待効果/消費)を大きい順に並べると以下のようになります。
系統 | 技名 | 種別 | 距離 | 消費ガッツ | 期待効果/消費 |
---|---|---|---|---|---|
ドラゴン | ジャンプブレス | 大ダメージ技B | 4 | 25 | 4.69 |
ラウー | ばくふう | 命中技B | 1 | 20 | 4.56 |
ラウー | 回転アタック | 大ダメージ技B | 2 | 23 | 4.38 |
ゴーレム | チョップ | 大ダメージ技A | 1 | 17 | 4.25 |
ゴーレム | ダブルチョップ | 大ダメージ技B | 1 | 24 | 4.18 |
ドラゴン | しっぽフック | 命中技B | 3 | 24 | 4.18 |
モノリス | サケビ声 | 命中技B | 3 | 21 | 4.10 |
ラウー | 回転投げ | 超必殺技A | 3 | 34 | 4.06 |
ヘンガー | Wキック | 大ダメージ技B | 2 | 19 | 4.02 |
ラウー | つかみたたきつけ | 大ダメージ技A | 2 | 19 | 3.97 |
この指標で考えるとドラゴンのジャンプブレスがもっとも強い技ということになりました。これは実際の印象的にもかなり信憑性があるのではと思います。ジャンプブレスは大ダメージ技でありながら命中率もガッツダウン効果も高く、非常に優秀な技という印象はもともと強かったと思います。それが理論的にも証明されたのではないでしょうか。そのほかはラウーの技が多く入ったところも注目のポイントになります。ラウーは全体的にダメージが高く、ガッツダウン効果もそこそこ高い技がそろっていると思います。総合的な技の強さという点ではかなり優秀な系統ということになります。
その他の数値化しにくい効果
さて、一通り技の強さについては一元的に順位付けをすることができたわけですが、実際の戦闘の中ではその他の要素が絡んできます。1つは技の距離です。狙った技を出そうと思っても、技の距離によっては出しにくいものがあります。特に距離が2や3の技は、相手との距離の調整が難しく、出そうと思っても隣の技が発動してしまうことがよくあると思います。そのため、距離が2や3の技は強さの数値自体は高くても、使いにくさという点が残ります。逆に距離が1や4の技は相手との距離の調整が容易で、狙った通りに出しやすいです。特に距離が4の技は開幕直後や吹き飛ばし直後など、発動タイミングをつかみやすく、使い勝手がとても高くなります。その点でもドラゴンのジャンプブレスは優秀です。
もう一つは消費ガッツそのものです。消費ガッツが大きいと、1回の戦闘中で発動できる回数が少なくなり、連続して回避されたりすると本来のポテンシャルを発揮できなくなってしまう可能性が高くなります。1回の戦闘で数百回技を発動できるようなゲームであれば、ダメージの期待値通りの効果を発揮できる可能性は高くなりますが、数回しか発動できないと、たまたま連続して命中したり回避されたりするだけで戦闘ごとの効果のばらつきが大きくなります。つまり、消費ガッツが大きい技は博打の要素が強くなるということです。これは、命中率が低い技にも同じようなことが言えます。なので、同じような期待効果/消費の技であれば、より消費ガッツが低く、命中率の高い技の方が信頼感が増します。先ほどのランキングでは、距離も考慮するとラウーのばくふうはまさに該当すると思います。このあたりは偏差などを考慮してさらに考察を重ねると面白いかもしれません。
まとめ
今回はモンスターファームで強い技について考察しました。
- 強い技は相手により多くのダメージを与えることのできる技
- 命中率と消費ガッツを考慮すると、ゴーレムのチョップが一番強い技になる
- ガッツダウン効果も加味するとドラゴンのジャンプブレスが一番強い技になる
- さらに技の距離や消費ガッツも加味すると、引き続きドラゴンのジャンプブレスは強い技になり、ラウーのばくふうも強い技になる